“交通事故に遭ってしまった被害者の方には外貌醜状と呼ばれる症状が残ってしまうケースがあります。
外貌醜状は「がいぼうしゅうじょう」と読み、言葉通り「外貌」、つまり容姿・外見に「醜状」、醜い様が残ってしまったケースの後遺障害を指します。
ここで言う「外貌」とは、頭部や顔面、そして頸部などの日常生活で他の人の目に触れる部位の内、腕や脚以外の部位、すなわち、手足以外で他の人の人目に触れる部位の事を指し示します。
そして、「醜状」とは「人目につく」というレベルを超えてあばたと呼ばれる瘢痕や線状の傷痕である線状痕が残る事を指します。
上記の様な状態が不幸にして交通事故後に被害に遭われた被害者の方の身体に残ってしまった場合、大変な精神的な苦痛に加え、更に被害者の方の日常の仕事にも影響が出る事が予想されます。
それらの苦痛や仕事への影響に対して、人目に触れる身体の部位の中でも特に人目につくレベルを超えた傷痕が残ってしまったケースでは、外貌醜状という後遺障害を正式に認定し、外貌醜状による精神的な苦痛に対する慰謝料である後遺障害慰謝料や、被害者の方の将来の職業に起きるであろう影響の逸失利益について損害賠償が認められる形となります。
損害賠償の請求時には、被害者の方の側で弁護士を立てて請求を行う事が多いようです。
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交通事故に遭い外貌醜状となってしまった場合、後遺障害に対する慰謝料は幾らもらえるのかについてご説明します。
不幸にも交通事故に遭ってしまい、被害者の方に外貌醜状が残ってしまったケースの損害額算定においては、司法の場である裁判所が慰謝料、そして逸失利益の損害額に関して算定時の基礎情報としているのは「自賠責保険」の等級認定表となります。
裁判所が基準として使用する自賠責保険における外貌醜状の等級認定表は2011年に改正されました。
以下に慰謝料の目安を挙げます。
・外貌醜状7級に該当すると裁判所が判断したケースでは被害者の方へ支払う慰謝料は1000万円、逸失利益の算定の基礎情報となる労働能力の喪失率は56%が目安になります。
・外貌醜状9級に該当すると裁判所が判断したケースでは被害者の方へ支払う慰謝料は690万円、逸失利益の算定の基礎情報となる労働能力の喪失率は35%が目安になります。
・外貌醜状12級に該当すると裁判所が判断したケースでは被害者の方へ支払う慰謝料は290万円、逸失利益の算定の基礎となる労働能力の喪失率は14%が目安になります。
しかしこれはあくまでも裁判所が下す判断による自賠責保険の目安ですので、等級の該当について適切かどうかを判断する為に被害者の方が弁護士に相談を行うケースも多いです。
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外貌醜状が被害者の方に残ってしまった場合の交通事故については、平成の22年の6月10日以降の事故に関しては改正後の等級の認定表が適用される形となります。
よって、改正後の等級認定表においては、等級に関して男女の区別を無くし、外貌醜状については下記に挙げる3つの等級が定められています。
・第7級の12 障害等級が「第7級の12」であるという事
「被害者の外貌に著しい醜状を残す場合」とは、基本として、次のいずれかに当てはまる場合で、更に人目につくレベル以上のものを指す」
a.指の長さを含まない手のひら大の傷跡が頭部の瘢痕として残る、または手のひら大以上の欠損が頭蓋骨に残る
b.鶏卵以上の大きさの瘢痕が顔面部に残る、または顔面部に10円硬貨の大きさ以上の組織陥没が残る
c.手の平大以上の瘢痕が頸部に残る
・第9級の11の2 障害等級が「第9級の11の2」であるという事
「外貌に相当以上の醜状を残す場合」とは、基本として、次のいずれかに当てはまる場合で、更に人目につくレベル以上のものを指す」
a.長さ5センチメートルよりも長い線状の傷痕である線状痕が顔面部に残り、かつ人目につくレベル以上となる場合
・第12級の14 障害等級が「第12級の14」であるという事
「外貌に単なる醜状を残す場合」とは、基本として、次のいずれかに当てはまる場合で、更に人目につくレベル以上のものを指す」
a.鶏卵大以上の傷痕である瘢痕が頭部に残る、または鶏卵大以上の欠損が頭蓋骨に残る
b.10円硬貨以上の傷痕である瘢痕が顔面部に残る、または長さ3センチメートル以上の線状の傷痕である線状痕が顔面部に残る
c.鶏卵大以上の傷痕である瘢痕が頸部に残る
これらが外貌醜状の基本的な等級認定となります。
等級認定に納得が行かない場合には、被害者の方が弁護士を立てて申し立てや相談を行う事も多いです。”