“交通事故で加害者の態度が許せない、保険会社に任せきりで反省の色が見えず、刑事罰に問いたい、と考える被害者関係者もいらっしゃるのではないでしょうか。実は刑事罰は被害者が直接加害者に与えることはできません。あくまでそれは警察や検察の仕事になります。このあたりの法律の仕組みがどのようになっているかをまず踏まえてから、何ができるかを考えてみましょう。交通事故の加害者は通常3種類の責任が問われます。1つ目は刑事責任、2つ目は民事責任。3つ目は行政責任です。3つ目の行政責任が一番理解しやすいと思います。加害者は事故を起こしたので、運転免許を停止するなどの行政処分をうけることになります。これが行政責任です。1つ目の刑事責任です。いわゆる犯罪、警察が捜査し、検察が起訴して刑罰を裁判所が決めるものです。この手続きの中に通常被害者は入ってきません。2つ目の民事責任は、被害者が加害者を訴えるもので、金銭的な賠償を求めるものです。まとめると、被害者は刑事責任を直接問うことはできず、民事責任で金銭補償を得ることしかできない、ということになります。
この手続き、非常に効率的な処理方法です。交通事故が何件も発生している現在で、大量に事故処理をするには優れていると思います。ただし大きな問題点として被害者感情はあまり考えられていません。本人や身内がけがをさせられていて、加害者の態度がいい加減であれば腹が立ちますし、刑事罰を問うて刑務所に叩き込んでやりたい、可能な限り重罰を科してほしいと思うのはごく自然な感情です。ところがそれを直接実行する手段は存在しません。先ほども述べたように、刑事罰はあくまで警察が捜査し、検事が起訴する形になりますので、不起訴が決定する前にそこに訴えかける必要があります。通常の骨折程度の怪我ですと業務上過失致傷罪に加害者は問われていると思います。この場合の業務上とは運転という業務を行っているという意味で、仕事をしている、という意味ではありません。運転していて他人を傷つけてしまった、という意味だと考えてください。警察が実況見分をして、証拠を集めている光景を街中で見たことはありませんでしょうか。これが加害者を罪に問うか否かの結論を出すための下調べをしている、ということなのです。これを資料にまとめて、起訴するか、不起訴にするかを検事が判断する、というのが通常の流れになります。
交通事故の場合、一旦起訴か不起訴かを検察が判断してしまうと、その決定を覆えすことは不可能です。よって決定される前に担当検事に直接会って訴える必要があります。単に被害届を出すだけでなく、それ以上の刑罰を希望していることをはっきり検事に伝えましょう。もしこのときに一人で行うのが不安であるならば、早い段階で弁護士にその旨依頼するのもよいでしょう。民事での慰謝料をとることを依頼すると同時に、加害者に可能な限り厳罰を望む旨を伝え、間接的に動いてもらうこととなります。もちろん弁護士ごとに専門がありますので、伝手をつかうなり、弁護士会の紹介を受けるなりして交通事故に強い専門弁護士を探すことをお勧めします。スピード勝負になりますので、素早い弁護士の選定が必要になります。もしも自身の周囲に交通事故を起こした方がいればアドバイスを求めるなり、企業弁護士に知り合いがいるなら紹介をうけるなりして、一刻も早い段階で行動に移すことが必要です。検事が不起訴の決定をする前にどれだけの行動ができたかが、加害者を刑事罰に問えるかどうかに関わってくるといえるでしょう。被害者は何も対策をせずに、ただ実況見分に立ち会うのではなく、弁護士の相談などあらかじめ対策をもって見分を行うことが重要です。
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